バブル期
かつて80年代のバブル期に前後して、「数年後には販売価格で買い戻す」との売り文句
で、ダイヤのアクセサリー類を押し売りまがいに売りつけている店があった。
当初は成り立っていたその商法、やがて慢性的な相場の下落とともに機能しなくなる。
要するに、売上げが買い取り価格を下回るようになったわけだ。
経営はやがてバブルの崩壊に足並をそろえるように破綻を迎え、多くの被害者を残してそ
の会社は倒産した。
その会社で買ったダイヤは今ではどこにも買い取られない、とか、逆に必ず安い値段で買
い叩かれる、とか、いろいろ都市伝説めいた噂もある。
ひとつには、その会社のダイヤの多くにつけられた、なんだかまことしやかな名前のつい
た鑑定機関による鑑定書が、一般的な評価に比して甘すぎたり、いろいろ疎漏があって信
用できない、ということがあるらしい。それが、会社の倒産というイメージと相まって、
ダイヤそのものに価値がない、というように勘違いされているようだ。
しかし、「ダイヤに罪はない」のである。
その会社がどんなに詐欺同然のおかしな商法で売ってたとしても、その鑑定書がどんなに
あやしげであったとしても、ダイヤそのものの価値がそれによって下がる、ということは
ない。その会社が偽のダイヤを扱っていたなら話は別だろうが、唯一の救いというべき
か、ダイヤ自体はれっきとした本物だったのだ。
そんなわけで、その会社のダイヤは、いわばいわくつきの商品として、買取業界では独自
の市場を形成しているらしい。なかには、その会社のダイヤ買取に特化した買取業者もい
るくらいである。
もちろんそういうところでなくても、貴金属買取の看板を掲げている店に行けば、少なく
ともその会社のダイヤであるというだけの理由で突っ返されることはないだろう。
で、結局何が言いたいかというと、だ。
お宅にも、ひょっとして、眠っているその会社のダイヤがどこかにないだろうか。
どうせ売れないと諦めて、放置されてはいないだろうか。
もし気が向いたら、そのダイヤを持って、ぜひ貴金属買取の店を訪れてみてほしい。
きっと、何らかの成果は得られる筈である。